艶麗な夜華
その声に顔を上げるとそこには……



「あっ……」



今日、山道で会ったあの男の姿。



男はあたしの腕を掴むと、


強引にその場に立たせる。



そして、片手で肩を掴むと、


建物の壁に押し付けた。



「な、なに…」



男は鋭い目を向けると、


顔を近づけ低い声で話す。




「女が地べたに座って、


犬の小便が掛かっているかもしれない電信柱に寄り掛り、


人目も気にせずに泣くとか、


そんな醜い事してんじゃねぇ」




「す、すみません……」



今までに感じた事のない緊張感に、


声を震わせ謝ると、


男はあたしの肩から手を離した。

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