喫茶の謎解き意地悪紳士2


……何とも言えぬ恥ずかしさ。

詩音は自分で顔が真っ赤になっていくのが分かりながら、「すみません」と謝った。

叶亜は何食わぬ顔で、舞の遺体の右手を指差した。

「阿部さん。この右手の人差し指の爪……」

「あ?もみ合いになったときにでもはがれたんだろ」

叶亜の指差した爪はグロテスクなほどに、はがれていた。

グロテスクなものが苦手な詩音にとっては、避けたい光景。

でも、こんなにもはがれるなんて……。

「よっぽど激しいもみ合いをしたのかも。」

「もみ合いとは限らないが、その可能性は高い。……阿部さん。」

叶亜が阿部に振り返る。

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