喫茶の謎解き意地悪紳士2





『――……僕自身が夢に捨てられたからだよ。淡い期待なんて抱いてたら、いつかバカをみる』


そう言った彼の言葉が、詩音の頭の中をぐるぐると回っていた。

叶亜と別れ、家に帰ると詩音はお湯を沸かし、ココアを入れた。 

もう冬本番だ。
夜は冷える。

最近出したばっかりのこたつに入り、ココアを飲みながら叶亜のことを考えていた。

「……あの人に夢なんかあったのかな」

負の感情を感じることができる叶亜は、きっと誰よりも人の気持ちが分かる。

私の気持ちなんて見え見えなのかもしれない。

第一、なんで周りの人たちには紳士の仮面を被ってるのに、私には素で接してくるの?


< 59 / 203 >

この作品をシェア

pagetop