オオカミと少女
「ねえ、何か言って?」
ナターシャは不安になって目を細めた。
イーサンの、この悲しそうな表情が嫌だった。
もっと笑って欲しいと思った。
「…俺が、恐いと思わないのか。」
イーサンはナターシャを抱きしめていた手をほどいた。
「俺は…」
「思わない、思わないわ。」
ナターシャはイーサンの頰から手を離し、すっかり痩せてしまったイーサンを抱きしめた。
イーサンも弱々しくながらまたナターシャを抱きしめる。
「……森の奥で、俺は1人の男を殺した。その男はまだ若くて…病気だった。
その男にはたった1人の妹がいた。」
ナターシャ、お前だろ。
そう言って、イーサンはため息をついた。
「…俺が恐いと、…憎いと思わないのか。」