飼い猫と、番犬。【完結】
流石に普段から男に囲まれているだけあって、慣れた様子の言葉に多少頬が引きつったが、それも一瞬だった。
肩越しに見える沖田の唇が微かに尖っている。
もしかして……拗ねとる?
尤もこいつの性格上それは恐らく無意識なのだろうが、見え隠れする不機嫌の理由に否が応にも口角が上がった。
可愛い奴め。
「もーそないヤキモチ妬かんかてかめへんてー俺男は掘ったことも掘られたこともあらへんさかい安心しぃ?」
「あ、安心って何ですかっ。私は別にっ」
「男に媚びるん趣味やないし。それに」
沖田の単純とも言える習性は最早把握済みだ。ちょっとからかう様に言うだけで慌ててこっちを向く。
そんな沖田の手首を掴み掌に頬を寄せると、途端に動きが止まった。
決して柔らかいとは言えない剣ダコだらけの苦労の見える、手。
「俺は、女子が好き」
ぺろりと舌を這わせた瞬間、鬼の様な速さで手が引っこ抜かれた上に反対の拳まで飛んできたけれど。
まぁそれでも佩刀(ハイトウ・刀を帯びること)していなかっただけまだマシだ。
後ろに跳ねて避けた俺を沖田はわなわなと身を震わせ睨んでいるが、茹だった顔では何の迫力もない。
寧ろ初過ぎて笑える。
虐め甲斐のあるやっちゃな。
「さっさとあの人に食われてしまえっ」
「酷っ」