飼い猫と、番犬。【完結】
確かにこんな時刻から何故沖田を通して俺に伝言を伝えたのかというちょっとした疑問も湧いたが、頑固なあの人の事だ、疚しい事はまずないだろう。
それなのに慌てて言い訳を口走る沖田を見ていると、どうしても虐めたくなってくるから不思議だ。
自分が悪いねんで?
むくむくと湧いた悪戯心に、にやりと口角が上がる。
「そない必死に言い訳せなあかんことがあったりしたん?」
「だ、だから何もないですってばっ」
「ふぅん?ま、ええけど」
再びジリジリと距離を詰め、勢いをなくした沖田を壁へと追いやる。
その引きつった頬が益々俺の加虐心を擽ることになっているとは、沖田自身夢にも思っていないだろう。
他の誰にも見せないその顔(誰も虐めへんからやけど)が、
もっと──見たい。
「此処には変なんもぎょーさんおるさかい、俺以外の男に体、触らさんよーにしぃや?」
「っ、ぅ」
胸ぐらを引っ付かんでそいつを引き寄せると、その細い首に舌を這わせる。
中々に感度の良い身体。敏感に肩を竦めて身を引こうとした沖田を逃がすまいと腕に力を籠めて、俺はそのままそれに吸い付いた。
「伝言おおきに。ほなちょっくら行ってきます」
「なっ……ばっ……っ!」
虫除けに一つ、印を残し。
真っ赤な顔で首を押さえて動かなくなった沖田に別れを告げると、俺は一人踵を返した。