絆の軌跡
「貴女の匂いがしました」
「…?」
私の臭いはそんなにすごいのか。
「冗談ですよ。
ワブフォードでは毎晩交代で夜警に出るのです。
そしたらたまたま目につきましてね…
私じゃなければこっぴどく叱られていた所ですよ」
「そっ、そうだったんですか…すいません」
それは危なかった。
「夜風は身体に障りますよ。保健室に戻りましょう」
クロエ先生に促されてベッドに戻る。
自分の肩に触れてみると、ひんやりと冷たかった。
知らず知らずのうちに身体は冷えきっていたようだ。
毛布にくるまってベッドに座る。
クロエ先生は横の椅子に座った。
「戻らなくていいんですか?」
「えぇ、見廻りは表門が最後ですから。
また出歩かれても困りますからね、見張りもかねて寝るまでここにいます」
「す、すいません…」
監視されるとは、軽はずみな行動だった。
気まずさを感じながらクロエ先生とは反対の方を向いて転がる。
うつらうつらし始めた頃、背中の方のベッドが僅かに沈む。
振り返るとクロエ先生が腕を枕にして寝ていた。
見張りじゃなかったのか。
起こすか迷った挙げ句、そのままにしておくことにした。
疲れているんだろう。
ベッドから降りる振動でも目覚めないほど爆睡だ。
先生の肩に毛布を掛けて、ローブを手に取る。
ローブを自分に掛けて眠りに落ちた。