絆の軌跡



「ほら、シーファ起きなさい…」



「…ん…もー、ちょっと……」



「ダメよ、お父さんが呼んでるわ」



「お、とうさん……?」



「そう。もうシーファも立派な子供でしょ?早く起きなさい」




立派な子供って…


なんだそれは。



意味のわからない母の言葉に、思わずにやける。




「……い…」



あぁ、遠くから声が聞こえる。



「ほら、置いてっちゃうって」



待って

今、起きるから…









「まっ……」



「おいっ!」


「っ!?…あ、おっ、おはようございます」



目の前にはほんのり頬を赤く染めたアーサー先生がいた。


驚きを隠すように落ち着いた挨拶をする。



夢の中の父の声とアーサー先生の声が重なっていたようだ。



白衣を羽織った先生は心配そうな顔をしていた。



「大丈夫か?なんかうなされてたみたいだけど…」


「大丈夫です、ありがとうございます」



父と母が出てきた夢。


悪いものではない。



「しかしお前、何でローブ掛けて寝てんだよ」


「え、あぁ…」



アーサー先生の後ろを見ると、クロエ先生はもう居なかった。



「クロエ先生が寝てしまったので毛布を貸してまして」


「はぁ?」



クロエ先生の名を聞いただけで先生の眉間に皺が寄る。


取り敢えず、保健室を抜け出したという事だけを伏せて経緯を説明する。



「ちょっと捕まってしまいまして…監視を」


「つ、つかまっ?監視っ!?」



駄目だ、伝わらない。


遠くから「保健室では静かにー!」と保険医のマリアさんの声が聞こえる。



難しい説明を諦め、毛布を剥いでネグリジェの裾に手を掛ける。


先生が必死に起こそうとしていたということは、時間が押しているのだろう。



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