絆の軌跡



大広間の扉の前にヘカテール先生が待っていた。



「シーファ・レイヴェン、おはようございます」


「おはようございます」


「アーサー研修生おはようございます」


「おはようございます!」



腰を綺麗に曲げて挨拶すると、ヘカテール先生は私に向き直る。



「では会議室に行きましょう。アーサー研修生は席についてください」


「はいっ」

「はい」



アーサー先生は別れ際にガッツポーズをしてくれたので、私もそれを返す。


ちょっと緊張が取れた気がする。



ヘカテール先生に続いて歩く。


会議室に入ると、見たことない先生数人と校長先生がいた。



「おぉ、シーファ君おはよう」


「おはようございます」


「緊張しておるかね」


「少し…です」


「少しか。ふふ、4月の入学式なんて緊張で気絶した者もいるぞ」



き、気絶っ!?



目を見開く私に校長先生がマグカップを渡してくれた。


温かい茶色い飲み物だ。



「ホットチョコレートじゃ。心が落ち着くよ」



そう言うと大広間に行ってしまった。



ホットチョコレートを一口飲む。


甘くておいしい…

昔、母が作ってくれたココアより濃厚な甘さだ。



「では、名前を呼ばれたら教壇に行くこと。

それから朝会後は自分の寮の担当教師に自分の部屋に連れていってもらいなさい。」


「はいっ」



ヘカテール先生も心配そうか顔をしながら大広間に行ってしまった。


入学式でさえ気絶してしまう人がいるだけに、一人の私を按じてくれているのだろう。



ホットチョコレートを飲み干して深呼吸する。

気付けば他の先生達もいなくなっていた。



会議室の外からは校長先生の声がする。


もうすぐだ。



話が新入生のくだりになったのが聞こえる。



「シーファ・レイヴェンじゃ」



名前を呼ばれて、扉を開けた。
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