絆の軌跡
白い髭をしっかりと蓄えた、私と同じくらいの身長。
しかし身体はガッチリとしていて金属の兜を被っている様は、盾のようだ。
教壇に立ち、教卓に教科書を置くと、再び大きな音が響く。
びくりと身体が震える。
「あー、悪い。授業は気合いが入っちまうんだ。」
頬をカリカリと掻いて、ニッと豪快に笑う。
「名前は…あー、シーファか。
俺はウッド、ドワーフ族だ。お前の何十倍も生きてるからな。歴史には詳しいぞ。
じゃ、教科書開けよ」
「…はい」
おっかなびっくり返事をして教科書を開く。
先生のやたらでかい声が教室中に響き渡る。
「ん、じゃあまずはこの国の成り立ちからな」
ゴホンと大きな咳払いをして教科書を開く。
「えーと、この国はアイテルという天空神によって創造されたと言われている。
元々は神々が住む天空の島だったんだな。
それが天界人と悪魔の争いによって地上に落っこちた。
だから今でも光の塔が天界と繋がっているらしい。」
だいぶ教科書の難しい言葉を噛み砕いて読んでくれるため、とても分かりやすい。
「んで、一応神の土地だから悪魔に占領されては困るってことで人間を住まわせたわけだ。」
神の名前が大量に出てくる。
覚えられるかが心配だ。
必死にメモを取り、教科書を捲る。
噛み砕いてくれるのは有り難いが、進むのが早すぎる。
「そして、農業を始めた人々はやがて土地を巡って争い合うわけだ。
…おっと、時間だな。休憩だ、しっかり休めよ」