ひねくれ作家様の偏愛
声をかけると海東くんが弾かれたようにこちらを振り向いた。
それから、その急な反応を恥じるように顔をそむける。


「問題ありません」


「こちらから連絡するってメールしたじゃない」


「俺は金曜18時と約束しました。あんたが来ないから、わざわざ出向いてあげたんです。感謝してほしいくらいだ」


相変わらずの強気。
だけど、その言葉には虚勢も潜んでいる。

私はそれらを無視して、話を進める。


「もらった原稿だけど」


「会議に回せるかだけ答えればいいです。あんたの批評はいらない」


辛らつな物言いに、この対面の緊張感をあらためて感じた。
私は軽く息を吸い込み、言い切った。


「じゃ、言うけど、私はこの作品を会議には回したくない」


「は?」


海東くんが不穏に聞き返す。私は厳然と答える。
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