ひねくれ作家様の偏愛
「きみとセックスしたことなんか、誰にバラされてもいい。そんな理由で、きみに書かせてきたわけじゃない」


意を決して、私は海東くんを見つめた。

大事な本音を言うなら、今。
彼が本音でぶつかってくれている今、この瞬間。

肩をつかむ手をはずさずに、上から手をかぶせ両手ともぎゅうっと握った。


「私の態度が海東くんの気に障っていたなら謝る。ごめんなさい。
だけど、きみが自分自身を卑下するのは許さないから」


彼をこれほど強く見据えたことがあっただろうか。
きっと、初めてだ。
だって、私は初めて正直に、自分の気持ちを伝えるのだから。


「寝ちゃったから、かまってる？バカ言わないで。その程度の気持ちできみに執着なんかしてない。
いい？覚えておいて。世界中で私ほどきみの才能を愛して、信じている人間は他にいない」


海東くんが憔悴した瞳をゆっくりと見開いた。

私の中から、押さえ込んでいたものがあふれ出す。声がどんどん激していく。


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