ひねくれ作家様の偏愛
「智が10代の頃からご担当いただいてるなんて、桜庭さんにはさぞ厄介な子でしょう。本当に申し訳なく思っております」
「いえいえ、そんな。私は海東先生の作品に惚れこんだ一ファンなんです。今回は本当に私が海東先生にご迷惑をかけたばっかりに……」
「でも、いなくなるなんてまだ子どもですわね。お恥ずかしい限りです」
そこでしばし会話が途切れる。
私は濃いお茶をいただく。暑い中歩き回り、冷たいものが飲みたかったけれど、口には出せない。
不思議とその熱い濃いお茶が頭をすっきりとさせていく。
お暇したら、どこを探そう。
まずは東京に戻って……。
彼の行きそうなところを存外知らない私。普段の遊び場くらい、それとなく聞いておくんだった。
「桜庭さん」
お母さんが不意に口を開く。
「はい」
私は慌てて意識を戻してくる。
「いえいえ、そんな。私は海東先生の作品に惚れこんだ一ファンなんです。今回は本当に私が海東先生にご迷惑をかけたばっかりに……」
「でも、いなくなるなんてまだ子どもですわね。お恥ずかしい限りです」
そこでしばし会話が途切れる。
私は濃いお茶をいただく。暑い中歩き回り、冷たいものが飲みたかったけれど、口には出せない。
不思議とその熱い濃いお茶が頭をすっきりとさせていく。
お暇したら、どこを探そう。
まずは東京に戻って……。
彼の行きそうなところを存外知らない私。普段の遊び場くらい、それとなく聞いておくんだった。
「桜庭さん」
お母さんが不意に口を開く。
「はい」
私は慌てて意識を戻してくる。