ひねくれ作家様の偏愛
しかし、無防備に俺に笑いかける彼女を見ていると理性が崩壊しかける。

抱き合えなかった分の時間を今すぐ埋めたくなる。

煩悩をごまかすため、俺は冷蔵庫からダイエットコーラを出しいっきに飲んだ。


「智くーん……」


背後から呼ばれ振り向くと、寝室から顔だけ出している千弥さんがいた。
困った顔をしている。


「あの……」


「なんですか?」


「やっぱいい」


顔がしゅるんとドアの向こうに引っ込む。
何、今の。

俺は面倒くさい恋人を追いかけ、仕方なく寝室に戻る。


「なんですか?ちゃんと言う!」


「あのね……良かったらでいいんだけど……」


「はい」


「頭なんか撫でてもらえちゃうと……寝やすいといいますか」


千弥さんが消え入りそうな声で言った。
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