ひねくれ作家様の偏愛






自宅に戻り、ぼんやりしているうちに日が落ちていた。
部屋の窓からはライトアップされた観覧車が見える。
もともとあの輪っかを眺めたくてこの部屋を買ったけれど、千弥さんと乗ってから、余計慕わしく見えるようになった。

観覧車は回る。
ゆっくりだけど止まることなく。

俺は観覧車を眺めて午後を過ごしたことを悔いた。

何をやってるんだ。

千弥さんと飯田が話しているのを見ただけで機能停止とか、バカなんじゃなかろうか。

のろのろと立ち上がり、部屋の電気をつけた。
夕食でも買いに行こうか。それとも、千弥さんは今夜来るだろうか。待った方がいいだろうか。

できれば、今日は来て欲しくない。
俺はみっともなく嫉妬しているし、今夜はとても彼女に優しくできそうにない。

するとなんてタイミングの悪さだろう。
玄関のチャイムが鳴り、次に鍵が開く音がした。

リビングに顔を出したのは千弥さんだ。
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