ひねくれ作家様の偏愛
『ともし火』グループの契約作家に置いてもらっているのは、「次出すなら文芸で」という海東くんの強い希望と、会社側からの温情措置に他ならない。
木原編集長の言うことはごもっとも。


「はは、ヤバイじゃん、桜庭。あのひねくれ作家先生に発破かけてこないと」


鈴村さんも呑気な口調で付け足す。


「もう書けないっていうなら、切っちゃえ、切っちゃえ。ま、あいつを推薦したおまえ的には、気まずいかもしんないけど、沈む船に乗ってるとおまえも溺れるぞ」


おじさん二人に囲まれ、こちらの窮状を笑われ、私はだんだんムカついてきた。
なんで、ここまで言われにゃならんのか。

海東くんは確かにひねくれ者で怠け者だけど、書けないわけじゃない。
才能あるライターだ。

それをおっさんたち、勝手に決め付けちゃって。
あー、ムカつく。ムカつきすぎて、目の周りがピクピクしそう。

でも不快感を表明するのも子どもっぽい。
私は精一杯微笑んで言った。
< 34 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop