ひねくれ作家様の偏愛
考えてみると、海東くんは私より4つも下。
きっと、受付の女子と同じくらいの年。

海東くんは私の接近に気付いているけれど、私から声をかけるまではテコでも振り向かない気のようだ。
弾む会話に声をかけるタイミングを失う。

しかし、一般来客と同じ手順でやってくるとは。
せいぜい、近くのコーヒーショップあたりに呼び出されるものだと思っていた。


「海東くん、お待たせ」


満を持して声をかけた。
海東くんがゆるゆると振り向く。


「うわ、桜庭さん、社内だとまた一段と気を抜いた格好ですね」


私をてっぺんから爪先まで眺め渡し、海東くんがぷっと吹き出した。
完全にバカにした笑い方だ。


「今日は社内中心だからね」


「ジーンズにラグランTシャツにユニクロパーカーって。27歳女子が会社でする格好ですか?」


社風じゃい。
みんなだいたい、こんな格好じゃい。

あ、嘘です。
数少ない女子社員も、だいたい私よりマシな格好です。
小松なんか、月9に出てくるOLみたいな格好してます。
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