ひねくれ作家様の偏愛
「髪もボサボサ」


不意に海東くんが大きく歩み寄った。
そして無造作に私のショートカットに触れる。

彼の長い指が髪を梳く感触。
そして、指先が私の耳に触れる。

私は驚き、傍目にもわかるくらい大袈裟に飛び退いた。


「触るなと……そういうこと?」


「や……違くて……。ごめん、驚いただけ」


一転ムッとした表情になる海東くんをなだめる。

それにしたって、接触はやめてほしい。
普段はお互い注意しているはずなのに。
気まぐれで、その壁を壊しにこないでほしい。


「ま、いいや。外でごはん食べましょう。この辺だったらどこが美味しいですか?連れてってください」


連れて行けと言いながら、海東くんは先に立って歩き出した。
私は渋々、後を追う。

本当は受付横の打ち合わせスペースでささっと済ませようと思っていたのに。
とりあえず、原稿の他にお財布とスマホ、持ってきてよかった。
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