ひねくれ作家様の偏愛
「イタリアンは?」


「あ、そっちの方が安心感はあるかな」


と言いながら、このカレー店の隣がイタリアンだったことを思い出す。
安心感あるなら、そっちにしろって話だよね。
だけど、あっちのお店、入ったことないんだもん。

自分で美味しいと思うところでないと、海東くんを連れて行く自信がない。
いちいちうるさいんだから、この男。


「ふぅん」


私の心中の言い訳には気付きもせずに、海東くんは運ばれてきたお冷に口をつけた。
ランチセットを頼み、私は用意してあった海東くんの原稿を取り出す。


「先に言うね。ちょっと今回の原稿はテイストが合わないかな」


「なんでですか?殺し合いゲームと知能ゲームのミックス。王道だけど邪道。割とよく出来てるでしょ?」


海東くんは藤椅子にもふんぞり返っている。
最早、この姿勢はデフォルトだ。
私は曖昧に頷く。
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