ひねくれ作家様の偏愛
「出来はさほど悪くない。けど、後味は悪い。救いがないラストは個人的に好きだけど、主人公の努力やヒロインの尊厳を無視した結末はいかがなものかと思うよ。……何より、最初に言った通り、『ともし火』のテイストと合わない」


「純文学押しですもんね、『ともし火』って。でも、もう少しエンターテイメント性のある話を入れて行きたいって言ってたでしょう」


「出せないことはないけれど、受け入れられるかというと難しいよ。私もこれで企画出すのは厳しい。こういう内容が書きたいなら、うちのライナーズ文庫に転向する?」


「それはもう『アフター・ダーク』でやりました。そもそも俺はライトノベルって嫌いなんです。ライナーズ文庫の萌えファンタジー路線とかマジ無理。吐き気がする」


それは言い過ぎではないかね。
そんな吐き気するものを一生懸命作っているのが私なんだけど。
きみの担当・桜庭のメイン業務なんだけど。


「出すなら、『ともし火』で。これは絶対です」


偉そうに断言する海東くん。

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