ひねくれ作家様の偏愛
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食後テーブルを片付けると、打ち合わせの場は整った。
海東くんが見せてくれるプロット。ようやく成る打ち合わせの構図!
……しかし、現実は違った。
海東くんは私の前に完成原稿をばさっと置いた。
おやおや?
これは、この前の原稿とも違うような……。
「海東くん?これ……」
キッチンにコーヒーを淹れに行ってしまった彼に、私は混乱した声をかける。
「また、別なのを書いたの?」
「ああ、俺、書くの速いんで。桜庭さんが来るまで待つのもバカらしいかなって」
私は深いため息をついた。
嘘だ。
絶対、私を呼び出す前から書いていたに違いない。
いくら速筆だからって、本一冊分の原稿をわずか3日で書けやしない。
つまり、彼は端から私と“打ち合わせ”をする気はなかったということだ。
プロットをたて、担当と作家が顔をつき合わせて相談する。
そうして、二人で物語を作り上げていく。
それらの行程を、彼は私とする気はないのだ。
やっぱりそうなのだ。