ひねくれ作家様の偏愛
それから、感情を押し込める間があり、次に低い声が言う。


「桜庭さんの意見なんて欠片も求めていない」


シャットアウト。拒絶の言葉だった。

ああ、しまった。
調子に乗って言い過ぎた。
また失敗だ。

私は絞り出すように彼の背中に声をかけた。


「私は……きみの担当だよ。きみが望んでいることだよ」


「あんたの仕事は、俺が書いたものを読んで出版会議に通すことだ。俺が書くものは俺が決める」


拳をぎゅっと握り締める。
涙が出そうだったので、唇も噛み締める。

いつだってそうだ。
私は無力。

結局、海東智は海東智でしかない。
堕ちてなお、気高く不遜な天才なのだ。

海東くんは私を無視して、キーボードをたたき始めた。
パソコンの光が暗い部屋を青く染める。
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