誰よりも、君が好き
『…た、匠…くん。』
最後の方は恥ずかしくなって、ふいっと顔を背けてしまった。
普段男の子を名前で呼ぶことなんて滅多にないし…
やっぱり、無理って言おうかな…
そう思って、私は顔を上げ、結城くんの顔を見た。
でも、私はそんなこと、言えなかった。
…言えなく、なった。
だって。
『おう!!』
…なんて。
歯を見せて笑った君が、
あまりにも可愛くて、かっこよくて。
嬉しそうで。
それがなぜかなんて、私には全く分からないんだけど。
今ごろ否定なんてできないと思った。
しょうがないから、
これからも”匠くん”って、呼んであげる。
……なーんてね。