誰よりも、君が好き
門をくぐったあとも、
匠くんは私のことなど気にも止めずに足早に前を歩いていく。
最初の方は、私も駆け足で追っていたけれど
そろそろ体力も限界に近い。
…くそぅ
まだ学校出て5分も経っていないのに…
ずっとこんなことが続いていくようなら、私も体力くらいつけておかないとまずいな。と思う。
…それにしても、自分から帰ろうって誘ってきた(?)くせに、そんなに早く歩くわけ!?
私が足あんまり早くないのも、体力ないのも。匠くんは知ってるはずなのに……
もしかして、いじめか?
いよいよそんなことを考える余裕もないほどに広まってしまった、匠くんと私の距離。
「…た、匠くん!!
もうちょっと、ゆっくり歩いてもらえないかな!?」
なるべく声を張り上げて、届くようにしたが…
匠くんはピクッと反応して、その場に止まった。
よかった…
待っててくれてる…
なんて、思ったのもつかの間。
「なんでお前のために俺がゆっくり歩くんだよ。
俺が、お前の言うこと聞くと思った?
…まぁ、頑張って走ることだな。」
匠くんは、私の方へと近づいてきてこう言った。