誰よりも、君が好き
私が戸惑っていると、匠くんが先にお店を出てしまった。
ちょっと!!置いていかないでよ!?
「遅い。」
財布を手に握りしめたまま、よく状況を理解できずに外に出ると、不機嫌そうな顔をした匠くんが待っていた。
良かった…まだいた。
「匠くん!!あの、お金…」
さっきは匠くんが全部払ってくれたんだ。
私は急いで財布の中からお金を取り出す。
でも、返ってきたのは意外な言葉だった。
「別にいいよ。こんくらい。」
「で、でも、私も結構食べちゃったし」
「いいっていってんだからこういうときは甘えなよ。
…まぁ、悠があんなに食べるとは思ってなかったけど。」
匠くんは苦笑いしつつ私の方を向く。
その表情に、私はドキドキを隠せなかった。
…ずるいよ、そんなの。