誰よりも、君が好き
だって、私は君の下僕でしょう?
お金なんか払ってもらうつもりなかったし、むしろ全額強制的に払わされるのだって覚悟してた。
だから、余計に。
不意打ちは、反則だよ……
「早く帰ろうぜ!!」
匠くんは私の腕を引っ張って駅の方へと歩き出した。
不意に掴まれたその腕に、次第に熱が集まっていくのが分かる。
「…ありがとう。
じゃあ、お言葉に甘えて。」
こう言うと、匠くんはおう、とだけ返す。
今日一日でちゃんと分かったよ。
それが照れ隠しってことも。
なんだかまた、可愛らしく思えて口元が緩む。
けど、次に彼から発せられた言葉は割と酷なものだった。
「お前は帰り、荷物持ちな」
え、と声を出した瞬間。
匠くんの持っていたスクールバッグが私の手元にドンッと置かれてきた。