誰よりも、君が好き
乱暴に置かれた、というのもあるが、その荷物の重さに思わずよろけてしまう。
「ちょ…重すぎ!!」
私の鞄の中には大したものは入っていないし、ほとんどは学校に置いていっているから軽め。
匠くんの鞄の中、いったい何が入ってるの?
「教科書結構いれてるからな。
まぁ、お前は下僕だから。
むしろこれだけで済むと思って感謝しとけよ?」
彼が振り向き様にニヤリと笑ったのを、私は見逃していなかった。
何も反論できないんだけど、なんだか無性に腹がたつ…!!
さっきまでは印象良くて、やっとこの匠くんにも慣れてきたと思ったのに…
下僕って、いつもこんなことをやらされるの!?
つ、辛すぎるよ―――
駅につくと、時間も遅かったため中は混んでいた。
もうお別れかと思っていたけれど、匠くんも同じ電車に乗るようで、二人で同じ車両に乗り込む。
慣れない夜の混んだ電車に、疲れのたまった体はどうにも辛い。
電車が大きく揺れて、多くの人が自分の方に倒れてきた。
「うわっ!!」
潰される!!
そう思って、目を閉じて小さく声を上げた。
…しかし、不思議と痛みは感じなかった。