誰よりも、君が好き



乱暴に置かれた、というのもあるが、その荷物の重さに思わずよろけてしまう。




「ちょ…重すぎ!!」






私の鞄の中には大したものは入っていないし、ほとんどは学校に置いていっているから軽め。



匠くんの鞄の中、いったい何が入ってるの?







「教科書結構いれてるからな。

 まぁ、お前は下僕だから。

 むしろこれだけで済むと思って感謝しとけよ?」







彼が振り向き様にニヤリと笑ったのを、私は見逃していなかった。





何も反論できないんだけど、なんだか無性に腹がたつ…!!




さっきまでは印象良くて、やっとこの匠くんにも慣れてきたと思ったのに…




下僕って、いつもこんなことをやらされるの!?



つ、辛すぎるよ―――








駅につくと、時間も遅かったため中は混んでいた。




もうお別れかと思っていたけれど、匠くんも同じ電車に乗るようで、二人で同じ車両に乗り込む。








慣れない夜の混んだ電車に、疲れのたまった体はどうにも辛い。




電車が大きく揺れて、多くの人が自分の方に倒れてきた。





「うわっ!!」






潰される!!


そう思って、目を閉じて小さく声を上げた。





…しかし、不思議と痛みは感じなかった。






< 66 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop