誰よりも、君が好き
恐る恐る目を開いて見ると、そこには私に覆い被さるようにして立っている匠くんがいた。
その表情はどこか辛そう。
…というか、これって、完全に私が守ってもらったやつじゃん!!
「あの、ありがと」
パッと顔を上げて匠くんを見ると、その顔が予想外に近くて、自分から向けたはずの顔を背けてしまう。
同時に、意識してなんだか心臓がうるさい。
「悠は、平気?」
背の高い匠くんは、私を見下ろして言う。
その息が、俯いた私の耳にかかってくすぐったい…というか、もっと心臓がバクバクいってるよ!?
「うん、平気だよ…」
こんなに近くにいたら、私の心臓の音が匠くんに聞こえてしまいそうで恥ずかしいかった。
もちろん、うるさいこの車内で聞こえるはずはないんだけど。
「…ごめん、少しドアの方、寄っ掛かっていい?」
少しして、体勢がキツくなったのか、匠くんがそう言ってきた。