誰よりも、君が好き
「いいよー」
…なんて、なにも考えずに言った私が馬鹿だった。
匠くんは、小さくごめんと呟いて、ドアの方にもたれかかった。
すると、さっきよりもぐんと距離が近くなって、今は匠くんの呼吸まで、しっかり聞き取れてしまう。
やっぱり、こんなの無理かも…!!
ドキドキが、止まらないよ……
意識してるのは私だけかもしれないけど、こんなに近くに匠くんがいるんだ。
どうしてもドキドキしてしまう。
…この気持ちは、なんだろう。
多分、距離が近いから。一時的なものだよね。
自分の疑問を自らで勝手に解釈して、私は気づきたくないこの気持ちの正体に蓋をした。