いと。

「………………」

「………………」

車の中には沈黙が流れる。

運転席の薫は、きっとずっと前を見据えたままだ。

私はというと…流れる夏の景色にすら目を向けられず、じっと身体に残っためまいと浮遊感と手の痛みに耐えながら目を瞑っていた。

開けた窓からは風が吹き込み、少しだけめまいを軽くしてくれる気がした。


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