いと。


ちゃぽん…ちゃぽん…


熱い湯を張ったバスタブに浸かり、ぼんやりと右手で水面を打つ。

数針縫い、痛む左手にはビニール袋をかぶせてゴムで止めた。


……みっともない。


こんなの、誰にも見せられないよ。

お店にも迷惑かけた…。

それに、………薫。

目を閉じて浮かぶのは…ベッドの上の私を見て青ざめて凍りついた顔と、無言で私を車に連れて行ったどこか遠くを見る顔、別れ際に眉を顰めて私を見つめる顔。

「はぁ。……嫌われたかな。」

ギリギリの食生活のバランスが崩れた時の危うさは理解してるくせにテキトーにやり過ごした結果がコレだもんな。

薫には常々、自分の身体をちゃんと気遣って管理しろと言われていた。


……怒って当然だよね。


………ばしゃっ。

ひときわ大きく水面を打つ。

私はこの時これまでにないほど、自分に苛立ちを感じていた。


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