いと。

ポイントインから少し離れたところに待機させていた社用車に乗り込む。

「…自宅へ。」

「かしこまりました。」

滑るように走る黒塗りの車から景色を眺め、彼女のことを考えた。

………何かがあったのは確実だ。

LINKの店長だって口を噤み、ほかのスタッフにも箝口令を敷いたかのようにだれも何も言わなかった。

多久島だってそうだ。

表情に出るくらい、この上なくイラついていた。

「…くそ。何もわからないな。」

感じる焦りは事実を掌握しきれていないためのものか、それとも他に何か気がかりがあるからか………。


……………気がかり?

何に?




……誰に?






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