いと。

「………はぁ………。」

最後にひとつ残っていたカモミールのバスソルトを入れて再び湯船に浸かる。

カモミールは心を落ち着かせてくれる効能を持つ………なのに胸が苦しい。


別れを告げずに薫と距離を置いたのは…


板挟み状態で身動きの取れない薫が感情に任せて私を選んでしまう事も、理性的に守るべき愛すべき子供を選ぶ事も、両方が怖かったからだ。


子供を愛さない薫も私を愛さない薫も見たくなかった。


だから自分から、選択肢の中の私を無くした。薫が気づく前に。


面と向かって別れると言ったなら薫はきっと、そんなことさせないと食ってかかるだろうから。


これで薫は迷う事もない。


私が見ていないところであの子を愛して、幸せな家庭を作っていけばいい。


< 257 / 561 >

この作品をシェア

pagetop