いと。
またトランクの横に転がりじっと目眩が過ぎ去るの待つ。
聞こえてくる雨の音に耳を傾け、浮かびそうになる薫の笑顔や声を振り払おうと必死に心でもがいた。
頑張って戸澤さんを説得して、話を白紙にしよう。
難しいかもしれないけどそれしかない。
父だって先方から破談と言われればもう何も言えないはずだ。
そして全部済んだら………
ひとりで生きて行くんだ。
どこでもいいから……、誰も私を知らない所で、静かに強く生きていく。