いと。
「なんで薫子を連れて来ちゃダメなの!?決心してくれたんでしょ!?
あんなにパパに会うの楽しみにしてるのに!」
現れるなり結衣は不機嫌だった。この顔を、付き合っている間も何度か見た気がする。
「…ちゃんと返事をするためだ。
俺は………お前たちとは暮らさない。」
その言葉を聞いて、結衣は一瞬固まった。
でもすぐに怒りに任せるように詰め寄ってきた。
ふるふると拳を握って。
「なんで!?嘘でしょ!?あなたの子供なのに、捨てるつもり!?
………信じられない。あなたそんなに薄情だったの…!?」
怒るのは当然だろう…。でももう決めたんだ。迷わないで愛のそばにいると。
「薫子は…一瞬で俺の子供だってわかったよ。笑った顔が子供の頃の写真によく似てたから。
その子をひとりで育ててくれて…本当に、感謝するよ。
君が望むなら3人の時間を作ってもいい。養育費はもちろん出す。心配いらない。
君の思うように…したいようにしてくれればいい。
それは全力でサポートする。
だけど………、生涯を共にしたいと思えるのは愛だけなんだ。君じゃない。」
これが悩み抜いて出した結論だった。
何と引き換えにしても、誰に責められても、手放したくないものは『愛しいひと』だけだった。
たとえ愛が……俺の選択を責めるとしても。