いと。
結衣の表情は一気に沈んだ。
握られていた拳は力なく解かれ、だらりと下がった。
「………何で?
何でなの?何で私を見てくれないの?
薫の子供だって産んだのに。あなたをずっと…想ってきたのに。
どうして私を愛してくれないの…。」
俯きながら呟く姿は痛々しく、いたたまれなかった。
「結衣……。」
「いい。先に関係を清算したのは私だもん。しかも一方的に。
…また愛してなんて言う資格、ない。」
「……………。」
『ごめん』
そう肩に手を伸ばすと、
「でもねっ!」
「…っ!?」
急に歪んだ笑顔を向けてきた。
「薫はもうすぐ、必ず私たちのところに来るよ。…絶対。私は、薫子とそれを待つ。
………じゃあね、パパ。」
結衣はそう言い残し、カツカツとヒールを鳴らして帰っていった。