いと。
彼女の去り際の表情を思うと心苦しい。
何かあるなら助けてやりたい。
「……………くそっ!」
追いかけたい衝動にかられる。だけど…立場上店を放って行くわけにはいかない。
その時、
「薫さん…。」
そっと声をかけて来たのはスタッフの雄太だった。
「今日は平日だし、お客さんそんなにだし、行って大丈夫ですよ。
あんなの見てほっとけないんでしょ?」
「………雄太。」
「アイちゃんが薫さんの『特別』だってことくらいバレてますよ。
何ならクローズの札掛けてってください?」
………その手があったか。
「……雄太、悪い。テキトーに閉めたら帰っていいから!」
エプロンを外し、バックヤードに放ると俺は彼女が去った扉から勢い良く飛び出した。