いと。
帰りの飛行機に乗り込み、母を思う。
いつも母は、私に父の話をする。
『この前来てくれたのよ』
『手を繋いで散歩したの』
『彼はいつも優しく笑ってくれるの』
今回はそう言っていた。
捨てるように京都の実家に追いやった父が、会いにくるはずなんてないのに。
ましてや、手を繋ぐ?笑う?そんなのありえないことだ。
母はきっとまだ夢の中にいる。
そしてきっと、一生そこから出ることはないんだ。
私を産んでしまったばっかりに。