いと。

大好きなカモミールのバスソルトを入れて香りを吸い込む。

「……………はぁ。」

出た溜息は、どうしようもないくらい真っ黒な気がした。

『女の子が傷なんか作っちゃダメ。自分を大切にしなさい』

それはわたしの左手を見た母にさっき言われてきた言葉だ。

殺したいとさえ思っていたことを忘れ、気遣う言葉をかける母。

もし……もし、記憶が戻ることがあったなら私はやっぱり憎まれるのかな。

いつもそれを考えると逃げてしまいたくなる。

不安を溜息に変えて大きく吐き出し、そのまま静かにバスタブにもたれた。


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