いと。
『ごめんなさい』
掠れる声で呟くように謝る彼女は、きっとよほど追い詰められていたんだろう。
あの威圧的で冷たい父親の元で何かに耐えてきたというのなら…その結果がこの涙だというのなら…
それなら俺は、その涙を掬うだけだ。
俯く彼女の顔を両手で包むように上げ、涙の零れる頬にキスをする。
「…っ!」
息を呑み固まった彼女に微笑み、甘く甘く囁いた。
「泣かないで…。君を支えたい。俺がいる。ちゃんとそばにいるから……、泣かなくていいんだよ。」
一瞬驚いた表情を浮かべたその視線を絡み取り、また両手で頬を包む。
ただ涙を止めたかっただけのはずなのに、
あとはもう、吸い込まれてしまった。