いと。
「先にシャワー浴びておいで。コートはちょうだい。こっちに掛けて乾かすから。」
そう言うと薫さんは濡れたコートを受け取ってエアコンの前に掛け、ぱさりと私にタオルをかけた。
「えっ!ダメです!薫さんの方がびしょ濡れじゃないですか。そんなことできないです。
私はドライヤーだけお借りできれば……っ!
きゃあっ!」
「………………」
無言の薫さんは私を抱き上げさっさとバスルームに入ってしまった。
「ちょっ……薫さ…っ!」
「言うこと聞かないと脱がせて一緒に入るよ。……俺はその方がいいけど、いい?」
その顔はいつものちょっと得意げな顔だ。
「い…、いいわけないですっ!降ろして下さい!」
「…だろ?いい子だから大人しくして。服乾くまでの着替え、俺のしかないけど使って?ブランケットも出しておくから。」
そう微笑みながら私を降ろす薫さんの声はとても柔らかく優しく響く。
心地よく温かく心を包まれるのを感じるのと同時に…嘘をついていたことが無性に苦しくなった。
「じゃぁね。」
囁くようにそう微笑む彼に私は……
「ごめんなさい………。薫さん…っ。
………ずっと…、ごめんなさ………っ!」
掠れる声で、そう謝るしかできなかった。