いと。

擦り寄るように甘えるように髪に顔を埋める仕草に、無意識にその頬に掌を添える。


ただただ、愛おしいと思えた。


鼻を掠める独特な彼の香水の香りが、穏やかに心に沁み渡った。

この人の隣で、強く生きていこう。

薫には、寄りかかって支えてもらって甘えてばかりいた。


でも曜とは、ちゃんと並んで支えあって前に進んでいきたい。


幸せを、二人で紡いでいきたい。


いつの間にか心地よく馴染むようになった愛しい腕の中で、私に不相応なくらい煌めく指輪を見つめながら心からそう思った。



そう……………思ったんだよ。


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