いと。

「………い………と。」

母からかすかな声で、私の名前が聞こえた。

「私…の………あ、か、ちゃん。」

「…っ!お母さん!やっぱり記憶が…!」

空を見つめていたその顔は、やがて私に向けられて………


「…………ごめん………ごめんね。」


涙声の謝罪とともに、頬を震える両手で包まれた。

「愛…。思い出した。

思い出したよ、全部。

今までのことも、覚えてる。

ごめんね、ずっと…。

愛してやれなくて、ごめんね……。」


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