いと。

「………美味しい。」

ジンジャーの香りがするそのホットワインは、薫さんと同じように私を心の内側から温めてくれるようだった。


こんな風に…ふわふわの毛布で包まれるような温もりを、私は知らない。


かつて恋人と言える存在だった人たちでさえ、抱きしめられてもこんなに温かさを実感することはなかった。


そうだ。



私は、愛されるわけのない子供。



そしてそれを知ったのは中学1年の頃だった。


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