いと。

「………なんだ?コレは。」

社長室のデスクに置かれた辞表をチラリと見てからオレの顔を見上げた表情はこの上なく不機嫌だった。

そりゃそうだろう。オレが昨日株の話をぶちまけたおかげでましろとの話は何があっても取り返せない。

…ざまぁみろ。

座り心地のさぞいいだろうイスにどっかりと腰掛けた父はまるで童話に出てくるアホな王様だ。


オレは……その王子になる気はない。


「これ以上はあなたに、息子としても…部下としても従うことはできません。

ケジメとしてここは辞めます。」

感情的にならないように努めて冷静にそう伝える。

だってオレには、やるべきことがあるから。

こんなやつに付き合っているヒマはない。

「…正気か?子供の頃から私に一度も逆らったことのないお前が?

そんなことが…許されるわけないだろう。

立場を弁えろ。」

目の前に出された辞表をヒラヒラと遊ばせた父は…嘲笑うかのようにそれを2つに破き、放り投げて床に捨てた。

「…っ!」


こんの…クソ親父。


その時だった。

ーコンコンー

「失礼します。」

入ってきたのは………


「父さん…、曜。久しぶりだね。」


まだ渡英しているはずの兄だった。


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