いと。

翌日、チェックアウトの時間になりフロントへ向かう。

結局、目に付いた従業員に愛はいなかった。

じゃあどこに…。

「……あ。」

ちょうど女将がフロントに顔を出したのを確認し、思い切って声をかけてみた。

「あの……ある女性を探しています。細身で色の白い、20代中頃の子です。

こちらでお世話になったりはしていないでしょうか。」

「………まぁ、そうでしたか。高橋さま…でございましたね。ご覧の通りウチの従業員連中はもっと年齢層が上ばかりで…。

お力になれなくて申し訳ございません。」

「そう…ですか。ありがとうございます。」

雪の降る外へマフラーを巻いて出る。


「……………決まりだ。」


ほんの一瞬だったけれど、ちゃんとサインは出ていた。

ピクリと動いた瞳。キュッと握られた手。それに…笑顔を向けながら、明らかに警戒していた。


愛は、必ずここにいる。


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