いと。
「…なぁ、愛。」
旅館の浴衣を着た曜は思いの外似合っていてかっこいいと思う。お腹の子がもし男の子なら、絶対に曜に似て欲しい。
「何?」
畳に座ったまま私を後ろから包み込んでいる曜にお腹をそっと撫でてもらうととても幸せな気持ちになった。
「………指輪、どうした?お前のことだから綺麗さっぱり捨てた?」
「………………。」
そう言われて気づいた。
そうだ、指輪は………。
「もしそうならまた用意する。アレは愛が俺のものだっていう印だから。
でも子供も生まれることだしすぐ結婚指輪か。新居決めて婚姻届出して…」
「あ、ちょっと待って。ここ、ここにあるの。」
首元からチェーンを引っ張り出し、その先についている指輪を見えるように持ち上げると曜はそれを少し見てから手に取り、チェーンを外した。
「……あったんだ。愛のことだから残すわけないなって思ってたんだけど。」
「…そうしようとしたんだけどどうしてもできなくて…。
この指輪と、曜のケータイ番号書いたメモだけは手放せなかったの。
この二つがあれば、いつでもそばにいられる気がして…。それを御守りに、ひとりで子供たちを育てていくつもりだった。」
「………そっか。」
「ごめんね。高価なものだからしまっておこうかとも思ったんだけど、離したくなくて……。」
「いや、つけててくれた方が嬉しいよ。
…手、貸して?」
「あ、うん………。」
私の左手をそっと取ると、曜はまた指輪を薬指にはめてくれた。