いと。

ここに社長室を構えてから、ずっとこの風景を見てきた。

小さな子供たちを見るたび、その微笑ましさに顔が綻び……同時に、自分の娘…いや、あいつが憎らしかった。

愛の笑顔を見たのは数回。

まだ自分も愛してもらえるかもしれないという希望を持っていた、ごく幼い頃のことだった。

その笑顔が在りし日の妻を思い起こさせ、余計に憎しみが増したことをハッキリ覚えている。

その命を受けたことで私から全てを奪っていった愛。

夢も、希望も、………愛する妻も。

だから決めた。

道具として使ってやろうと。

あいつは切り札。

そう。それを使う時が来たんだ。


………京香。


君がそのことを理解したら、


私に何て言うだろうか?


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