いと。
高層マンションの一室、広い窓の外に広がる夜景も、初めは綺麗だと思ったがもう今は興味ない。
上半身裸のまま風呂上がりの濡れた髪をタオルでガシガシ拭う。
愛の見立てで買ったペアタンブラーのひとつでミネラルウォーターを一杯飲み、愛の父が調査したという多久島の資料を見ながらひとり考えていた。
「なるほどねぇ。」
…本人も知らないとはね。
愛の父親はコレを使ってどう動く?
コレを知ったら愛はどうする?
「…案外すんなりいくかもしれないな。」
そう思うと自然と口角に笑みが浮かんだ。
それと同時に…心にチクリと、何かが刺さった。
「所詮、親の持ち駒にすぎない…か。
この女も、………オレも。」