花明かりの夜に
その姿に、気づけばただ見とれていた。


(美しいな)


女中の質素な服を身にまとってさえ、隠しきれない艶やかさ。

質素な藍色の着物が逆に、しっとりした美しさをきわだてるよう。

姿勢よくすっと伸びた背中、まとめられた長いまっすぐな黒髪の下からのぞく白いうなじ。


(立ちふるまいにどこか品がある。

もともとの育ちがいいのかもしれないな)



「見ない顔だけど、いつからここに?」

「10日前からです」


後ろから声を掛けると、寝床を片付ける手を休めずに女は答えた。

あらかた終わると、籐カゴを持ってすたすたと紫焔の前を横切っていく。
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